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さきほども述べましたが、受験生の皆さんにとって、 大学入試の知識というのは知らないことばかりです。 また、自力で知らないものを知っていることへ転化させることも不可能です。 そして一度覚えた知識は、問題をぱっと見てすぐ思い出せる 「使える記憶」という形にしなくてはいけません。 これらのことを踏まえて、勉強の進め方を述べます。
いきなり教科書や概説書の類に手を出してはいけません。
何が試験で問われるのか、この手の本ではわかりづらいからです。
最初に手をつけるべきは講義型参考書や解説の詳しい問題集です。
「講義型参考書」とは、ここでは語学春秋社の「実況中継」シリーズに代表される、
講義口調で問題をどんどん解説していくタイプの本のことを指します。
覚える知識の形によって、問題集の使い方も変わるので、その分類に沿って使い方を解説します。
英語や古文の文法、化学・生物や地歴公民などの「知識重視型」科目の場合は、
講義型参考書であれば3回ほど通読して、問題を解いてみるといいでしょう。
問題集は、まず解説をよく読み、穴埋め問題や知識問題は赤の水性ペンで解答を書き込み、
理解できたかどうかを赤のチェックシートを用いてチェックします。
正誤問題であれば、黒の水性ペンで誤文を誤った内容を頭に入れないように訂正します。
数学や物理といった「抽象的手続き重視型」科目の場合は、
まず数分、解き方を模索してみて、どうしても解答の見通しが立たなければ解説を読みます。
解けそうならもう数分かけても構いません。解説を読んだらもう一度、自力で解き直します。
これを繰り返し、解答を見なくても解けるようになるまで繰り返します。
英文読解や現代文・古文読解・漢文読解といった「具体的手続き重視型」科目の場合は、
まずは講義型参考書、問題集とも一度自力で問題を解いてから、
解答・解説をよく読み、何度も復習することです。
こうして「特に知らなくてはならない知識」を仕入れた上で、
文章で書かれたそれほど分量のない教科書や概説書の読み込みに入ります。
これで、問題集の「点」の記憶に「つながり」をもたせることができるようになります。
くどいようですが、問題集のやりっぱなしは絶対にいけません。必ず復習をして下さい。
復習をしなければ、どんどん勉強したことを忘れてしまい、
入試本番では問題集の知識がまるで使いものにならなくなってしまいます。
入試で必要な知識は、問題を見てすぐに「あ、これはこういう答えだ」と瞬時に反応できる
「使える記憶」の状態でなくてはなりません。
答えを見てから「あ、そうか」と思い出せる「使えない記憶」の状態では入試では役に立ちません。
「使える記憶」を増やすためにも、復習は絶対にやって下さい。
復習のしかたですが、一度解いた問題はそれなりに頭の中に残っているわけです。
忘れていたとしても、その問題についてまったく知らないという状態とは違うのです。
ですから、もう一度最初から解き直そうとせず、問題と解答・解説を読み直せば十分です。
ただし、時間を置くと「使えない記憶」になってしまうので、定期的に何度も復習することが肝心です。
こうすれば、入試の時期になれば、問題をぱっと見ただけでも十分復習になるくらいになるでしょう。
「使える記憶」のストックを増やし、実戦で即座に使えるようにしましょう。